3.旅のきろく 2日目
2日目は、打って変わって青空。
朝食は、前の晩と同じ宿で済ませる。
朝食のあとは、メリケンパークへ。

海辺の石柱の前で、記念撮影。
石柱は、彫刻家・流政之の作品「神戸海援隊」の碑。
幕末の神戸海軍操練所で学んだ、坂本龍馬ら若者の姿をイメージしたものだという。
メリケンパークは、ポートタワーや海洋博物館がある神戸港の公園だ。
昨日は部屋から眺めた景色の中に、今日は自分たちが立っている。

公園の一角にあるのが、「神戸港震災メモリアルパーク」。
メリケン波止場の岸壁約60mを、被災した姿のまま残している。
傾いた街灯と、ひび割れた地面が、当時の揺れを物語る。
開設は1997年7月。
メリケンパークをあとに、異人館街の北野へ。

北野は、神戸港の開港後に外国人が暮らした山手の街。
1980年には、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた。
坂の上に洋館が点在する、異国情緒あふれる街並みだ。

北野町広場は、風見鶏の館の南側にある憩いの広場。
夏の日差しが強く、日傘が手放せない。

広場には、楽器を演奏するブロンズ像。
サックスを抱えた像の隣で、父と母が記念撮影。
ここは、かつてホテルが建っていた場所だという。
続いては、洋館のスターバックス。

建物は、1907年(明治40年)に建てられた木造2階建て。
阪神・淡路大震災で被災し、2001年に現在地で復原されたという。
国の登録有形文化財の洋館を、そのまま店舗にしている。
館内は6つの部屋に分かれ、当時の趣を生かした内装だという。

木陰の坂道を、日傘をさして歩く。
お昼は、三宮の純喫茶「リノ」へ。
阪急神戸三宮駅から歩いてすぐ、ビルの2階にある。

純喫茶とは、お酒を出さない昔ながらの喫茶店のことだ。
しかも、今どき珍しく喫煙可。

父の前には、ナポリタン。
店内は煙かった。
しかし、ご飯は旨かった。
ナポリタンは、日本の喫茶店で育った洋食の定番だ。
神戸をあとに、有馬温泉へ。
移動は、高速バス。
有馬温泉は、「日本書紀」にも登場する古い温泉地。
白浜、道後とともに、日本三古湯に数えられる。
湯は、鉄分を含む赤茶色の「金泉」と、無色透明の「銀泉」の2種類。
今夜の宿は、「中の坊 瑞苑」。
150年以上の歴史を誇る、有馬の老舗旅館と紹介されている。
有馬を代表する天神泉源の金泉が楽しめる宿だ。

ロビーは天井が高く、大きな書の掛け軸が出迎えてくれる。
母と妹と私で、その前で記念撮影。

上から見下ろすと、ロビーの広さがよく分かる。

ロビーの池では、色とりどりの鯉が泳いでいる。
鯉は、滝を登る姿から出世のたとえにされる縁起のよい魚だ。

ラウンジで、ひと休み。

お茶と小さな和菓子で、ひと息つく。

客室までの廊下も、落ち着いた雰囲気。

通された客室は、広々とした和室。
赤い座卓を囲んで、家族4人でも余裕がある。

庭には、苔むした岩と池。
夏の緑が濃い。
チェックインのあと、夕食までのあいだに温泉街を歩く。
雨の中、傘をさしての散策だ。

路地には、味のある手作りの人形。
表情が、やけに個性的だ。

温泉街の路地は、細くて坂が多い。
石段をのぼりながら、街の奥へ進む。

たどり着いたのは、湯泉神社。
有馬温泉の守り神を祀る、古い神社だ。
平安時代の「延喜式神名帳」にも名前が載っているという。

社殿へは、石灯籠が並ぶ長い石段。
「とうせん」の名にあやかり、選挙の当選祈願に訪れる人もいるらしい。
夕食は、お祝いの席。

仕切られた席に、浴衣姿で集合。
テーブルの真ん中には、お祝いのメッセージ入りのプレート。

父は、赤い頭巾とちゃんちゃんこを着けて登場。
還暦は、生まれた年の干支に還る節目。
赤は魔除けの色で、赤ちゃんに還る意味もあるという。

プレートの結びは、「有馬で湯っくり」。
これで父も、晴れて還暦。
おめでとう、父。
父の還暦を、有馬の宿で祝えた一日。
明日は、最後の目的地へ。
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